アンダー・ユア・ベッド
覗いていたい。このままずっとー
もう一度名前をよばれたい…雨の日の無人のエレベーター。誰かの香水の香りが残っている。俺は思い出す。この香り…、11年前、たった一度だけ名前を呼んでくれた佐々木千尋のことを。親からも学校のクラスメイトからも誰からも名前すら憶えられたことのないこの俺を「三井くん」と呼んでくれた時のこと。俺は人生で唯一幸せだったあの感覚にもう一度触れたいと思い、彼女を探し出すことにした……。 家庭を持った彼女の家の近所に引っ越し鑑賞魚店を開店し、自宅に侵入、監視、盗撮、盗聴、彼女の近くで全てを覗き見ていたいと思った。 だが、俺の目に映ったのは、全く別人に変わり果てた姿だったのだが……。