新網走番外地 流人岬の血斗
網走刑務所で服役中の末広勝治は、満期まで後1年というところで懲役房入り17回の新記録を打ち立てていた。ある日、四国・松川刑務所から場外作業場新設のため初犯で成績優秀の囚人二人を移送して欲しいという依頼がきた。所長以下は末広を無理やり模範囚に仕立て上げ、大学出の囚人・宮田鉄夫と共に松川刑務所に送ることにした。四国で彼らを迎えたのは、刑務所長の後藤田と坪島どっく社長の坪島だった。坪島は囚人の矯正活動に熱心で、囚人たちを一般工員と同じ処遇で作業させ、働く喜びを体得させたいと思っていた。だが、この試みに町人たちは猛反発。人間不信の囚人たちも疑心暗鬼の目であった。